津尾尋華の漫画実写化映画鑑賞

漫画の実写映画の感想など書いていこうと思います。

ろくでなしブルース  1996年

ろくでなしブルース 1996年 那須博之監督 前田憲作主演

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原作はジャンプヤンキー漫画の金字塔「ろくでなしブルース」。比較的実写映画と相性のいい不良物にビーバップハイスクールシリーズの那須博之監督という安定感のある布陣。まあ、これなら大外れはないですよね…?

 

映画化ということで原作でも一番人気のエピソード「鬼塚編」をメインに「原田プロ再起編」をミックスして構成。主演は女性ファンも多かったキックボクシング世界王者の前田憲作。芸能活動を初めて初映画主演。ヒロインは小沢真珠

 

冒頭から喫煙しまくりの不良たち、ブルマ姿の女子高生に時代を感じます。

登場した不良がゲーセンでボコられるところからスタート。鬼塚編と原田編をくっつけた都合上、因縁を作るために鬼塚にボコられる原田。いきなりめちゃくちゃな原作改変&原田の格を下げるスタートですが、まあ、原田ファンなんてそんなにいないでしょうからいいんでしょう。尺の都合は致し方なし。

 

映画版鬼塚

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これで10代は無理がありすぎるかと思いますが、大体の登場人物が10代に見えないのでまあよしとしましょう。原作の大物感がなくなってチンピラ感が増したのは残念。

 

場面は移って帝拳高校。

前田さんの登場。

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もう、鬼塚もそうなんですけど似せる気が全くない。帝拳の面々も誰が誰か全然わからない。(かろうじて勝嗣と米示がわかる程度)

更に全員が恐ろしく棒読みです。

 

なんでかというと、登場人物に似せる努力と演技力を引き換えにリアル格闘能力に全振りしてるからなんですね。

キックボクシング世界王者の前田憲作を主役に、ライバル鬼塚役にシュートボクサー・ジャイアン・ジュン、島袋役にプロレスラー・柳澤 龍志。上山役にキックボクシングヘビー級王者・大石亨と格闘ガチ勢を起用し、ボクシング指導にファイティング原田ジム、協力全日本キックボクシング連盟、ワールド・パンクラス・クリエイト、ワールドシュートボクシング協会というリアル格闘映画。帝拳と渋谷軍団の面々もパンクラスやキックボクシングの選手が起用されています。

 

これ、「のぞみウィッチィズ」とか「THE STAR」で見た、格闘物のドラマや演劇をやると格闘パートのレベルの低さで評価が下がるから、本物の格闘家を役者として起用しようメソッドだ!

なるほど!現実ではあんまり見ないけど、演技力が致命的になるからだね!津尾さん心で理解したよ!

 

おかげで不良同士の戦いは、臨場感のあるリアルバトルになっており、ハイキックが飛び交い、軽快なラッシュ、ボディ連打、流れるような腕ひしぎや立ち関節から前転して逃れる不良、炸裂するブレーンバスターが見られます。えー、リアルバトルすぎて不良っぽさがなくなったよ…。

だって鬼塚がガードポジションから腕ひしぎ決めたり、パワーボムくらわせるんだぜ…。お前のような不良がいるか!

 

ここまでやるのなら、バトル全振りでいいと思うんですが、前田千秋原田の恋愛三角模様は組み込まれます。そんなにもヒロインと恋愛要素は不可欠なのですか!?

原田の試合を見に行こうと誘う千秋に素直になれない前田。お前が応援した方が原田が喜ぶからお前が行けよと千秋に言ったところでわざとらしく降り出す雨

千秋「じゃあ、もし、私が原田くんを好きになっても前田くんはいいんだ」

前田「そんな事知らねえよ!好きにしやがれ!」

泣きながらかえる千秋。

立ちすくむ前田。

このパート要る?

 

 

原田のテストマッチの日、吉祥寺に押し寄せる渋谷軍団。迎え撃つ吉祥寺軍団。

この街中のチェイスはいいな。

肉体派揃えてるだけあって動きにキレがある。

街中でバトルしながら島袋対須原、輪島対上山、前田対鬼塚の原作再現カード。

ここが見せ場なので当然、バトルは見れる。セリフも長台詞がないのであまり気にならない。

 

鬼塚対前田も原作通り赤城の乱入、アッパー、ソバット炸裂。ジャッキー映画並みの殺陣で盛り上げます。顎を割られた鬼塚が並外れた精神力を見せて面に出さず、血を飲み込んで隙をみせないシーンがカットされているのは残念ですが、一進一退の攻防ののち、腕を潰され、足を刺された前田の最後の一撃が決まります。

「4歳くらいからやり直しやがれ!」

(原作通りソバットかな?)

炸裂するフランケンシュタイナー

なんでや!

 

ラストは鬼塚を倒した前田が、原田のテストマッチに足を伸ばし、取ってつけたようにテストマッチ相手のセコンドに人質に取られた千秋を助けて、それを見た原田がテストマッチに勝利してエンド。

 

そしてエンディングロールの流れる後ろで始まるろくでなしブルースとなんの関係もない前田憲作のキックボクシングの試合映像。

なんなんやこれ!メインはろくブルじゃなくて前田憲作やったんか!

 

うーん、明らかに原作の方が面白い。

格闘家起用したリアルバトルの面白さはあるけど、全体の棒読み演技が辛かったよ…。

40点。まずは一敗。