津尾尋華の漫画実写化映画鑑賞

漫画の実写映画の感想など書いていこうと思います。

ブラックエンジェルズ  2011年

ブラックエンジェルズ 2011年 内田英治監督。落合モトキ、矢島舞美主演。  

f:id:jiholeopardon:20210925004340j:image

 

ミッドナイトスワン、全裸監督の内田英治が監督した80年代ジャンプ漫画の名作「ブラックエンジェルズ」の実写映像化。主演は「桐島、部活やめるってよ」の落合モトキと、°C-ute矢島舞美

正確にはVシネで映画ではないんですが、映画館での上映イベントがあった事と、個人的に平松伸二先生が大好きなので取り上げました。

 

原作は現代版必殺仕事人。自転車のスポークを武器に悪人に仕置きをする雪藤らブラックエンジェルズが、闇の組織龍牙会の殺し屋とたたかい、最終的には世界の命運を決める超能力バトルを行うようになるというお話。映画版は序盤の必殺仕事人パートの映画化です。

仕置き稼業という性質上悪人のタチが悪く、レイプや強盗、金持ちのボンボンのひき逃げなど胸糞悪い犯罪が多く、女をシャブ漬けにするヤクザや独居老人を虐待する外面の良いチンピラなど、アニメ化やドラマ化に難しかった題材のため、20巻以上刊行されているジャンプ漫画としては珍しく映像化されていませんでした。人気はあったためパチスロにはなっています。

 

Vシネのお約束というか、アイドルやグラドルを売り出したい事務所の意向×原作漫画の集客力×おっさん需要という利害関係から作成されるため、そこそこ知名度が高い原作漫画の起用、ちょっとセクシーなシーン、大人向けヤクザやチンピラとの戦いというニーズにマッチした原作が取り上げられたのはある意味必然なのですが、特に原作解像度を高くしようという意図がないため、原作主人公の雪藤と、本来ヒロインでない麗羅のダブル主人公というよくわからない配役になっています。

 

多分原作ファンは、「なぜ松田はでない?」と「なぜヒロインがジュディじゃないのか?」の2つで困惑したと思うのですが、松田の話を挟むほど尺がない。ジュディだと金髪、迷彩服、トゲムチで色気がなくコスプレ感が高い。チャイナドレス&ナイフの麗羅なら違和感が少ない。あたりが原因でヒロインが麗羅に。

 

ストーリー自体は現代版必殺仕事人なのでわかりやすく、バイク便をやってる雪藤が女の子を騙して攫いヤク漬けにして売春させるヤクザを仕置きするお話と、家族を殺された復讐をする為に裏の世界に入った、ヤクザの子飼いの殺し屋・麗羅が情に絆されてヤク漬けの女の子を逃し、制裁を受けるお話を並列して描いていきます。

 

雪藤の昼のメガネで気弱な人畜無害お兄さんと、夜のメガネを外した黒づくめの殺人者の二面性は良く描けてますし、回転するタイヤからのスポーク抜き出し、ヤク漬けで売春させられて殺される女子高生、ヤクザと警察の癒着、返り討ちにあう父親、「地獄に、堕ちろ」など原作のツボは抑えてるんですが、どうしてもどっかでみたお話感は拭えません。

f:id:jiholeopardon:20210925095411j:image

 

麗羅パートは矢島舞美のチャイナドレス姿とアクションを楽しむ感じで、原作麗羅の大人っぽさや殺し屋として育てられた悲哀、表の世界への憧れなどは描かれません。殺陣も迫力がないですが頑張ってはいます。、ももスリットナイフ装備や、チャイナドレスアクションは色っぽいです。チャイナドレスだけで4-5着着替えるよ!

f:id:jiholeopardon:20210925095418j:image

殺し屋として育てられた設定ですが龍牙会などは出てこないです。まあ、猿楽師とか蛇皇院とか魔木とかでてきたら予算足りなくなりますし、変態暗殺術の打ち合いすると現代劇でやらなくなるからね…。

総じて、原作を映像化というよりは、主演2人を活躍させるためのフォーマットとして原作を持ってきたという感じ。ブラックエンジェルズか主演2人のファン以外にはお勧めしにくいです。

 

余談ですが、津尾さん発売日に購入して平松伸二スレで語ろうと思ったら、95%が矢島舞美の話しかしておらずスンってなりました。

 

2、3巻は監督が小美野昌史に交代。山田悠介演じる松田とゴセイジャーでモネを演じたにわみきほのジュディが登場。まあ、一巻が楽しめたらみてもいいのでは…。

 

50点。 2敗。