津尾尋華の漫画実写化映画鑑賞

漫画の実写映画の感想など書いていこうと思います。

北斗の拳  1995年

北斗の拳 トニーランデル監督 ゲイリー・ダニエルズ主演。

 

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地上が焦土と化し、酸の雨がふる世紀末。

シンの支配する帝国サザンクロスに向かうケンシロウから開幕。

ハリウッドというお国柄なのか、現実的に荒廃した世界ならこうなるという想定なのか、ヒャッハーどもが闊歩する世界なのですが、メインウェポンは「銃」。

 

マッドマックスの世界で拳法家が戦う話がマッドマックスの世界そのまんまに戻ってるじゃねえか!

 

大筋は原作そのままで、ユリアを奪われたケンシロウがシンを倒しに行く途中バットとリンと出会い、シンの軍団を倒しながらサザンクロスに向かうというストーリー。

なんですが、結構改変されています。

 

悪い点

・シンがリュウケンを殺しにくるが銃で殺す

 拳法を使え!

・百裂拳が高速の猫パンチ。

 全く打撃ダメージがない。いちおう秘孔をついているという想定なのだろうけど最後の秘孔をつくモーション以外高速で相手を撫で回しているようにしか見えない。

北斗神拳が全く生かされてない。技名もでない、言わない。普通の打撃系格闘技。秘孔をつけ!

ケンシロウ対シン 

 シンの頭突きからの金的で勝負が決まる

  これが…、南斗聖拳だと…?

・バットはナイフで戦う。リアルアメリカンボーイスタイル

・スナイパーからケンシロウを助けて死ぬバット。とにかく銃は拳法より強いので、北斗神拳の意義がない。多分ケンシロウよりランボーの方が強い世界

南斗聖拳が、気を込めた攻撃を当てると触れていない手足から血が噴き出す謎仕様。

ケンシロウは「世紀末救世主」ではなく「北斗の拳」お前は、フィストオブノーススターだ!とかか言われるんですが、北斗の拳がなんなのかよくわからない。

 

いい点

・レイプ、放火、集団暴行、奴隷狩りとヒャッハーの無法ぶりがリアル。黒犬騎士団なみの民度。「エンジョイ!」とかいう。

・決め台詞は流石にそのまま「You are already dead」カッコいい。でも秘孔で倒すシーン自体がほとんどないので、お情け程度の原作再現要素。

 

なんというか、拳法の優位性がほとんどないんですよね…。秘孔も、息を吐けても吸えないとか、聞かれたことになんでも答えるとか、強制的に後ろ向きに歩くとかの神秘的な部分がない。一応百裂拳でタイムラグで死ぬシーンはあるんですが、特殊撮影が大変なのか2回だけ、ほぼ後の格闘シーンは単なる打撃戦です。シンを倒す決め手はとび後ろ回し蹴り。

 

ストーリーもスターウォーズよりというか、世界の調和を取り戻すことが目的で、死んだはずのリュウケンがリンに乗り移って、使命を果たすように託宣を下したり、大いなる力の決める流れの中はたすべき役割があるというような背景が示唆されます。アメリカ人こういうの好きね。

 

難民や悪党どもはリアルで、衣装や小道具も安っぽさがなく作り込まれているのですが、肝心の北斗神拳部分が首を傾げるかなというところ。これ、多分監督はマッドマックスの世界は好きでも北斗の拳に思い入れはないよね。映画の出来としてはそこそこ。北斗の拳としてはイマイチということで65点。 2敗1分